器物損壊
器物損壊事件発生からの流れ
送検・勾留まで
逮捕前にご相談いただければ,弁護士としてアドバイスできる内容は多くなり,有利な結果となる可能性も高くなります。
事実とは異なる,又は無関係な事件での逮捕であれば,状況の説明や目撃者の証言をもらうなどして,早期釈放に向けて弁護活動を行います。
勾留された場合に備えて,身元引受人の確保,保釈保証金の準備等も行います。
公務執行妨害・業務妨害で逮捕されると,その方は「被疑者」となります。
警察は被疑者の弁解を「弁解録取書」としてまとめ,それを参考に送検若しくは釈放を決定します。
決定するまでの間,最長48時間まで留置の可能性があります。
勾留されるまでの間,家族等身内の方とは面会できませんが,選任された弁護士はほぼいつでも,時間の制限もなく,警察官の立ち会いもなく,被疑者(逮捕された方)との面会が可能です。
制限時間は刻々と迫ってきますので,今後の対応策を大至急打ち合わせいたします。
また,家族や親しい方との連絡も,弁護士を通じて行うことができます。
送検されると検察は24時間以内に勾留が必要かどうかを判断し,必要とした場合裁判官に勾留請求を出します。
必要なしとした場合釈放されます。
器物損壊で送検・勾留されないようにするには,被害者への誠意ある謝罪と賠償による示談を行い,告訴を取り下げてもらうための活動が最優先となります。
器物損壊罪は親告罪であるため,告訴を取り下げてもらえれば,起訴されません。
ただし逮捕されてから起訴までの時間は最長で23日間と短いため,この間に被害者との示談をまとめ,告訴の取り下げを獲得するために,弁護士には迅速な対応能力が要求されます。
また,反省と改悛(過ちを悔い改め,心を入れ替えること)を示すことも重要です。
これら誠意ある対応を行なっていることを検察官や裁判官に目に見える形で示します。
また弁護士を通じて身元引受人を確保し,証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを検察官や裁判官に説明するなどの弁護活動も行います。
裁判官は勾留要件を満たしているかを検討し,勾留決定か釈放を判断します。
勾留中は検察官・警察官より様々な取り調べが行われ,最長で20日以内に起訴か不起訴かが判断されます。
勾留中も引き続き,弁護士を通じて被害者への謝罪を行い,示談の締結と告訴取下げを目指します。
起訴後に告訴が取り下げられても,起訴が無効になることはありませんので,起訴される前に告訴の取り下げがなされるようスピーディーな弁護活動を目指します。
また,反省の態度と過ちを繰り返さないことを目に見える形で丁寧に訴え,釈放・執行猶予を目指します。
起訴から裁判まで
起訴されると「被疑者」から「被告人」となります。
検察官の求める処罰(求刑)が罰金の場合,略式起訴として書類のみ裁判所に送られ,処分が決定する場合もあります。
裁判が行われるまで引続き勾留の可能性もありますが,保釈の請求も可能です。
保釈とは保釈金を収めることを条件として,一定の制限はあるものの,身柄の拘束を解かれる制度です。
請求を行うと,裁判官(裁判所)が検察官の意見も聞いた上で許否を決定します。
ただし被告人の立場は変わりませんので,裁判は行われます。
なお,保釈金は裁判手続の終了後,還付手続を行い,ご依頼者様に返還されます。
保釈中に証拠隠滅や逃亡をするなど保釈の条件に違反した場合,保釈金は没取されます。
裁判が行われると裁判官により,有罪・無罪が検討され,有罪であれば量刑も言い渡されます。
執行猶予が付くこともあり,猶予期間内に他の刑事事件を起こさなければ,言い渡し自体の効力が失われます。
起訴後は,執行猶予の獲得など,実刑とならないための弁護活動が主となります。
これにはもちろん無罪判決獲得も含まれます。
(ただし裁判での有罪率は99%というのが日本の現状です。)
他人の所有物または所有動物(ペット)を損壊,傷害すると器物損壊罪に問われます。
器物損壊罪は親告罪なので,被害者の告訴が無い限り,刑事事件の裁判は行われません。